|  急性肝炎になったくらいでは問題ありません。
 ウィルス肝炎にはいくつかの種類があります。
 A型肝炎はA型肝炎ウィルスによって引き起こされます。 これは、生ものなどに潜んでいることが多く、急激に肝機能が悪化し、慢性化することは少ないとされています。 
                          治療法としては、入院し安静にというものですが、場合によっては血液中の血漿を交換してしまう血漿交換なども行われます。
 
 B型肝炎はB型肝炎ウィルスによって起こります。
 そもそも、ウィルスとはDNAの一本鎖みたいなものです。DNAは二本の鎖がらせん状に絡まってできています。 
                          細胞の設計図に当たり、これが元になって細胞は増えていくのです。
 いいかえれば、生物とは少なくともこのDNAを持っていなければなりません。 ウィルスはそれ単体では生きていくことができませんので、細胞、特にその中のDNAに入り込んで、 
                          まんまと一部に成りすまして生きていくのです。
 
 まるで、スパイのようなものですね。
 そして、こいつがいるために、細胞の正常な再生が行われず、再生と破壊が繰り返されるのです。 細胞の生産工場と考えると、不良品がどんどん作られ壊されていくわけですが、 
                          ウィルスだけはその一部の部品ですから、壊されたとしても増えていくわけです。
 
 このようなウィルスはくっつく細胞が決まっています。
 肝臓にくっつくのが肝炎ウィルス、リンパ球にくっつくのがエイズウィルス、 上気道粘膜にくっつくのがインフルエンザウィルスという風にきまっています。
 
 B型肝炎は急性に感染して劇症肝炎となっていくものと、慢性化するものがあります。 劇症肝炎になると、血漿交換などが必要で、命に関してもかなりなリスクを負うことになります。
 一方、慢性肝炎になると、長い期間を経て再生と破壊が繰り返されるために、がんの危険が増えるのです。 ただし、特殊なケースを除いて慢性化することは少ないとされています。
 
 この特殊なケースのひとつをキャリアーといいます。
 これは、キャリアーのお母さんから生まれてくるときに起こります。普通、ウィルスなどが体に入ってくると、リンパ球が働いてウィルスをやっつける抗体という物を作ります。 
                          抗体を作るためには相手が侵入者だということを認識する必要があります。
 ところが、生後間もない時期にウィルスに感染するとウィルスを侵入者と見分けることができず、抗体が作れません。 
                          そのため、ウィルスは我が物顔でどんどんと増え続けます。 この人をキャリアーといいます。
 
 おぎゃあと生まれる際に、お母さんの体から血液感染するといわれています。 ただし、現在では生後まもなくワクチンを接種することで防ぐことができるようになりました。 
                          つまり、わが国では今世紀中になくなる病気なのです。
 
 C型肝炎は慢性肝炎の代表です。
 輸血や血液製剤、体液による感染などが感染ルートです。最近テレビでも話題になっています。 インターフェロンでの治療も進んでいますので、ぜひ一度は専門医を受信してください。
 
 現在掛かってしまっている方のウィルス性慢性肝炎は、肝硬変、肝臓ガンに進む確率が高いのも事実です。 逆に言うと肝臓ガンの8〜9割は、ウィルスに関係しているといいます。
 そのような人、とくにC型肝炎の人は、できれば年に2〜3回定期的な検査(超音波、CTスキャン、採血など)を 
                          受けるようにしましょう。 また、せめて肝臓に負担のかかるお酒や不必要な薬は避けていたほうが賢明です。
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