人を信じるって事は大変なことです。
裏切られる危険性を常に自覚する必要がありますからね。
ただ、裏切られるのが嫌だからと言って、人との付き合いを避けるようになったら、元も子もありません。人は関係性の生き物ですから、孤立したままでは人としてやっていけないのです。
では、どう考え、どう受け止めればいいのでしょうか。
実は、裏切られたって感じているのはあくまでも自分自身なわけで、言い換えると、ある種の期待をその人にしていて、その期待が返ってこなかった時、人は裏切られた感覚になるんですね。(勿論、世の中ひどい人間もいますから、相手にほとんどの責任がある場合もありますが、基
本的には50%、50%の責任と考えた方がいいようです。)
たとえば、こういう返事が欲しいとか、こういう態度が欲しいとか、そういった期待を人は相手にするわけです。ところが、実はそれは自分自身の感情であって、相手の感情は考えていないんですね。あくまでも、
自分自身がどう感じるかと言う問題なのです。
だから、期待に反すると、裏切られた感情に浸るのですが、実は浸っているのは自分と言う事になります。
人は成長すると共に、その愛をも成長させます。ちっちゃな子供の時は 、口や性器や肛門といったからだの一部を愛する「自体愛」です。それが、成長するに連れて「自己愛」と言うものになります。
自分を愛して欲しいということです。
昔はこの「自己愛」が更に成長するとマザーテレサのように「対象愛」と言うものになると考えられていましたが、マザーテレサですら神様に愛されたい事が原点ですからあくまでも「自己愛」しかないというのが
、現在の主流な考え方です。
ただし、ここで「自己愛」にも二通りある事を忘れてはなりません。
「未熟な自己愛」と「成熟した自己愛」です。
「未熟な自己愛」は、あくまでもわがままで自己チューなものです。
一方、「成熟した自己愛」は自分が愛される為に、他人に何かを提供す る、他人をまず愛する事から始まります。
ここで、他人を愛する為には他人が分からなくてはなりません。
ところが、他人の気持ちなんて分かるはずもありません。僕は小学校の時、通信簿に「他人の気持ちを分かりなさい」とよく書かれました。でもね、これっておかしいんです。というのも、他人の気持ちなんて分か るはずも無いからです。他人の気持ちが分かったように思っても、あくまでも自分の勝手な想像にしか過ぎないのです。そして、これほど人を傷付ける言葉もありません。お前こそ、こっちの気持ちを考えろと言ってやりたいですね。…話しを元に戻します。
では、何を分からなきゃならないんでしょう。
それは、「他人にも自分と同じように気持ちや感情があるって事」です。
成熟した自己愛を持つ人は他人にも自分と同じような感情がある事を分 かった人です。自己愛を成熟させる為には、どんな状況でも、他人に人格があるということ、他人に自分と同じように感情があるということを分からなければなりません。
あなたの腹立たしさややるせなさ、不愉快さは良く分かります。あなたが、そういった感情になっている事は、伝わりました。ただし、それは貴方が成熟した自己愛を持つのに必要な経験でもあるのです。痛みを知るということは、愛を成長させる上で、必要な事なのです。唯、勉強しただけでは、唯、知っているだけでは駄目なのです。実際に感情を伴って体験しないと、人が傷つきやすく、そして実はたくましい生き物だと言う事が分からないのです。
あなたは、今回の事で何を学んだでしょうか。
今回の事でどれだけ成長できたのでしょうか。
今回の事で、どれだけ優しく出来るようになったでしょうか。
いつまでも、あなたを被害者の椅子に腰掛けさせておくのは、僕には出来ません。どんな事であろうとも、ずっと、人を信じないとか、生きていく気力が無いとか言いたい気持ちは受け止めておきます。ただし、本当にそうし続けるのなら、残念ながら未熟なままで終わってしまうんです。反面教師と言う言葉があります。今回の事で本当に相手だけに非があるのなら、それはそれで、反面教師になさい。そんなことで、くよくよしてるほど、人生は長くはないですよ。
だから、あえて今回は難しい言い方にしました。
僕の言った事を本当に理解できるようになった時、本物の幸せがやって きますよ。
傷つけて、傷つけられて、慰めて、慰められて、色んな事が人生ってあるんです。まるで、砂漠の中を旅するようなものかもしれません。でもね、そんな旅もやがてオアシスにたどり着くんです。オアシスにたどり着くからこそ、人は生きていこうと言う気が起こるんです。元気が出てくるんです。そして、そのオアシスを見逃すのも、たどり着くのも自分だと言う事を忘れちゃいけないんです。
あなたの、傍にオアシスがあるのを僕は知ってます。
そして、そのオアシスに背を向けたい気になっているのも知ってます。オアシスに目をむけてね。素晴らし世界がそこには広がってますからね。
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