ガンラットというネズミがいます。
このネズミは遺伝子操作によりある年齢に達すると、すべてガンを発症します。このことから遺伝も考えられますが、人間の場合、それだけではない要因も考えられます。
よく、母方、父方の家系の一方、あるいは両方がガンの家系なので、自分も含めた子孫がガンになると考えている方がいらっしゃいます。
それは大きな間違いです。
ただし、ガン家系というは、別の面でいえば、「食事などを含めた生活環境が非常によく似ている」ということがいえます。
その結果として、ガンになる人が多い。そう考えることはできます。
つまり、ガンの家系であっても似かよった環境要因を取り除けば、ガンは予防できるわけです。
したがって、ガンの家系だからといって悲観的になったり、逆に開き直って自暴自棄になるよりは、ガンにならない生活環境を整えるほうが、よほど大切なのです。
そして、家系的にガンがある場合は、ガンになる要因を取り除くとともに、早期発見につとめる努力も必要となります。
また最近では遺伝子(DNA)の研究が進み、あるガンに関してはこういう遺伝子の部分が関係すると言う報告も多く見られるようになってきています。
たとえば、P53と言う番号の遺伝子に至っては、1日に世界中で発表される論文は数十件とも言われています。
ご質問に関して簡単に言えば、いわゆるメンデルの法則のような遺伝。つまり、赤と白の花を掛け合わせた時、赤が出る確率は25%、白が出てくる確率は25%、ピンクが出てくる確率は50%などと言う遺伝ではないということです。
ただし、遺伝子レベルで考えると遺伝子のある部分(たとえばP53など)の異常があるとガンの発病の確率が増加します。
さらに、これに紫外線や放射線、煙草を代表とする化学物質などによる遺伝子(DNA)の損傷が持続的にあると更にその確率は高くなるのです。ですから、一般的な遺伝ではないと言うことは言えますが、遺伝子の中にはその発病の因子が隠されているとは言えるわけです。
ヒトゲノム計画は人の遺伝子情報を分析する世界的なプロジェクトですが、つい最近完成し、今はその内容を探っているところです。恐らくここ数年の間にもっとガンの秘密は解き明かされていくことでしょう。
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