脊髄のくも膜のう胞はごくまれなものです。というのも、そもそも実際に脊髄を検査すること自体少なく、最近になってMRIが発達してようやく見つかるようになった病気です。
ですから、僕自身もこの20年ほどで数例しか見たことがありません。
治療法は、あくまでも一般論ですが、症状の進行具合によります。このまま、症状が痺れだけでしたら、様子を見ていくという感じでしょうか。痺れがひどくなったり、痛みになったり、動きが悪くなってきたら手術となります。
手術は、のう胞自体を切除するものから、単に脊椎の骨の後ろ側をドリルで切ってはずしたり、観音開きにしたりするだけのものまで様々です。場所や大きさ、圧迫の仕方などなどいろんな状況で変わってきます。
最近は脊髄外科というものが発達してきています。日本では元は脊髄は整形外科の医者が扱っていましたが、欧米では神経外科医、つまり、脳外科医が扱っていました。日本では今その統合が行われているところです。
どちらがいいかというのは一概には言えません。どっちも一長一短という感じでしょうか。いずれにせよ、最近は脊髄外科として統合されてきているわけですから、そういった科を設けている大学病院や公的病院へ行かれることをお勧めします。
また、せっかくそこまで診断された先生との人間関係もあるでしょうから、セカンドオピニオンを聞きたいとはっきりとおっしゃるのも手だと思います。
また、くも膜のう胞と鑑別しなければならない病気として、脊髄腫瘍や脊髄の血管奇形、脊髄空洞症などがあります。専門の脊髄外科医が見れば一目瞭然です。
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