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アルツハイマーの予防策について教えてください。

お答え
 

アルツハイマーは野菜・魚嫌いの人に多いと調査でわかり、予防策の第一は1日2杯の野菜ジュース

【アルツハイマー病は生活習慣病】

日本人の高齢化が進むにつれて、認知症(ボケ)の症状が見られる人の数も、急激に増えてきました。厚生労働省の推計によれば、65歳以上の高齢者のうち7.2%に認知症の症状が見られ、約160万人の患者さんがいるとされています。この患者数は、2025年には300万人を越えると予測されています。

認知症は、「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症(以下、アルツハイマー病と略す)」に大別されます。日本では認知症といえば、脳血管性認知症が主でした。ところが1990(平成2)年を境に、アルツハイマー病の患者数が増えてきたのです。前述の認知症の患者さん160万人のうち、アルツハイマー病の患者さんは、約100万人に上ると見られています。

これは、減塩運動などによって高い高圧を下げ脳血管障害を防ぐことができるようになったことが大きな要因と見られています。しかし、それだけではアルツハイマー病の患者数が増加していることは説明できません。

そうした中、「アルツハイマー病にんも生活習慣が要因として大きくかかわっている」という報告が見られるようになってきました。特に、偏った食生活の人に、アルツハイマー病が多く発症していることが報告されだしたのです。

例えば、高齢者の認知機能(脳の働きが活発かそうでないかの具合)を調べた欧米の調査があります。それによると、認知機能の衰えた人、つまり認知症の患者さんの特徴として、第一にビタミンC、E、β−カロテンといった抗酸化成分(酸化力の強い酸素を除去する働きのある成分)の不足があげられています。

この調査結果は、認知症の患者さんは、ビタミンやミネラル(無機栄養素)を豊富に含む緑黄野菜の摂取が不足している可能性の大きなことを示しています。

日本では自治医科大学の植木彰教授の研究グループが、アルツハイマー病の患者さんと健康な人を対象に、食生活のくわしい調査を行っています。その調査でも、アルツハイマー病は、食習慣の偏りからくる生活習慣の要因が大きくかかわることがわかったのです。

アルツハイマー病と健常な人の食品摂取比率
食品 アルツハイマー病 健常な人
39.0

59.3

25.6 21.1
牛乳 82.1

120.1

緑黄野菜 45.9 69.9
ほかの野菜 51.0 71.0
キノコ 4.3 7.3
海藻 5.7 10.7
(単位:ミリグラム)

【野菜と魚中心の食生活が大事】

アルツハイマー病の患者さんに目立つのは、野菜が魚が嫌いで、肉を好んで食べていること。そういう人は、今からでも野菜と魚中心の食生活に切り替えるべきでしょう。

アルツハイマー病の原因は、まだはっきりとはわかっていません。しかし、遺伝子(遺伝の本体)の関与については、一部わかっています。それは、「アポE4」(アポリポたんぱくE4)という遺伝子を持っている人に、アルツハイマー病が多く発生しているからです。

それに加え、アルツハイマー病を促進する要因として、活性酸素(酸化力の強い酸素)の害があげられます。

活性酸素には、体内に侵入した細菌や異物を撃退するという役割があります。その一方で、活性酸素が体内で増えすぎると、健康な細胞まで傷つけてしまうのです。

脳についていえば、活性酸素は脳内にかなりの割合で含まれている脂肪を酸化させて、アルツハイマー病を引き起こす原因となります。

そうしたことにならないために、人間の体には抗酸化力(活性酸素を除去する力)が備わっていますが、この抗酸化力は年を取るにつれて衰えてしまいます。そのため、ビタミンC、E、そしてβ−カロテンなどの抗酸化物質を食品から補う必要があり、これらを豊富に含む緑黄野菜を、毎日たっぷり取ることが重要になってくるのです。

一方、魚に多く含まれている脂肪は、n−3系といわれる脂肪酸(脂肪の構成成分)で、このn−3系には炎症や血栓(血液の塊)、動脈硬化(動脈の老化)を防ぐ働きがあります。それに対して、肉に多く含まれているn−6系の脂肪酸は、n−3系の脂肪酸とは反対の働きをします。

アルツハイマー病の発症にも、脳内の慢性炎症や血栓・動脈硬化がかかわっていることがわかっています。このことから、アルツハイマー病の人は、n−3系の脂肪酸不足の可能性があるのです。

以上述べたことから、アルツハイマー病を防ぐには、まず、ビタミンやミネラルの豊富な野菜、特に、抗酸化成分であるビタミンC、E、β−カロテンを豊富に含む緑黄野菜を、積極的にとる週刊を身につけなければなりません。

緑黄野菜を簡単にとるなら、野菜ジュースにしてとるのがおすすめ。200mlの野菜ジュースを朝と夕方に1杯ずつ飲めば、ビタミンC、E、β−カロテンをはじめとしたビタミン群やミネラルなど、必要な微量栄養素のほとんどをとることができます。野菜ジュースは、手作りしてもいいですし、市販のものを利用するのもいいでしょう。

魚については、n−3系の脂肪酸を多く含むマグロ、イワシ、アジ、サンマ、サバといった青背の魚を、積極的にとるようにしてください。こうした食生活を心がけることによって、アルツハイマー病になりにくい体質になっていくのです。

※引用 掲載誌 夢21 2008年7月号 (c) (株)わかさ出版

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