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このエッセイは『ばんぶう』(日本医療企画)に掲載されたものです。
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  ああ、夏休み(2001)
 

やっと夏が終わった。というより、やっと夏休みがと言った方が正解かもしれない。

今年の夏は縁あって、小学6年と4年の男の子と遊ぶ事が出来た。

ようやく、世間のお母さん達の状況を実感した。いやあ、本当に大変だ。

公立学校では、宿題が無かった。よって、子供たちのエネルギーは有り余ったものとなる。そのエネルギーを我々の子供のころのように、単純に外で発散させるわけにはいかない。外には、危険が満ちているからだ。

車の危険はもとより誘拐を始めとする犯罪の危険も日常になっている。かくゆう僕の身内も14歳の子供に殴られて、ハンドバッグを奪われた。

一体、どうなってるんだろうか。

この原稿を書いている間にも(病院の当直室で書いている)24歳の若い女性のお母さんがパニック発作で担ぎ込まれてきた。育児ノイローゼだと言う。

無理も無い。若く誰の支えも無く、8ヶ月の子供と3歳の男の子のわがままに耐えて来たという。責めるのは簡単だ。勿論、彼女の未熟さは否めない。

しかし、現実は受け止めなくてはならない。虐待予備軍の多くの親が存在する事を。それを、彼女たちだけのせいにするのは、無責任と言われても仕方がない。この社会で孤軍奮闘するのは厳しい。

社会は崩壊しつつあるのか。

青色ダイオードの開発者が元の会社を相手取って、特許に関する報酬の訴訟を起こした。欧米では当たり前の事である。

そもそも、我々の社会は子供がそろそろ大きくなるから、給料を上げると言う生活給を取っていた。しかるに、グロ−バル化の波は、能力給に取って代わろうとしている。

能力給とは若くとも成績次第では多くの稼ぎをえる事が出来、能力の劣った人は稼ぎが少なくなるというものだ。

この変化は他人事ではない。

若くて体力のあるうちはいいけれど、歳を取って体力が無くなれば、収入は落ち込んでいく事になる。弱者切り捨ての理論だ。

多くの我々は会社にアイデンティーティーを見つける事も出来ず、社会にも国家にも見出せないでいる。

これは、痛みを伴う改革なんて生易しいものではない。生きるか、死ぬかの瀬戸際かもしれない。

すったもんだの教科書問題も採用したのはごく一部の学校にとどまった。反対派はこぞって、自分達の勝利を叫んでいた。イスラエルの諺にもあるように、全員一致の結論は民主主義が行われなかった可能性がある。

民主主義を唱える団体のファッショこそ危うべき事なのかもしれない。

一体、どこに拠り所を求めるべきなのだろうか。

200万年前、アフリカのジャングルに住んでいた我々の祖先は、地殻変動により否応無しに危険なサバンナへと出ていかざるをえなかった。彼らは外敵に向かう為に集団生活を基本とした。その為に、宗教や哲学や法律を産み出し、間借りなりにも、社会を維持してきた。

そして、大きな変化がやってきた。日本だけではない。我々が一番最初に体験しているだけなのだ。

200万年ぶりの地殻変動かもしれない。

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