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このエッセイは『ばんぶう』(日本医療企画)に掲載されたものです。
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  相次ぐ不祥事とマザーコンプレックス(2000)
 

神奈川県警、新潟県警と相次いで警察の不祥事が表沙汰となっている。身内のミスや不祥事を隠す為に嘘を重ね、結局は、そのことがばれて責任を取る羽目になった。さらに、その教訓を生かすべく監査に行った人間が接待を受け、カラ監査を行って帰って来たという。

連日のように、社会構造のおりのような話が伝わってくる。聞いているうちにふと、アンタッチャブルという映画を思い出した。

宿敵アル・カポネを追い込んだエリオット・ネスは陪司員が買収されていることに気づく。そして、陪司員を変更する為にある妙案を思い付く。ネスは裁判官と二人っきりになると、彼に提案をする。変更をしてくれたら、カポネの名簿にあるあなたの名前を消去すると。裁判官はこの提案を飲んだ。実はネスはブラフを切っただけだったのだが。

話はがらりと変って、吉野川河口堰の話に移る。四国三郎といわれる日本有数のこの名川の河口に250年前に作られた堰がある。江戸時代のハイテクだ。その堰を壊して、150年に一度の洪水に対して、1000億円かけてあたらしく可動堰を作るという。長良川で上流の生態系を死滅させたあれである。

徳島市民はその建設に対して、ノーという答えを出した。投票率は50%を越え、昨今の地方選挙にない投票率であり、全有権者のうち少なくとも49.6%が反対であることを示した。

この結果に対して、建設大臣はニュース番組において激高し、投票の結果に関しては無効であるとのたまった。たかだか50%程度の投票率は、民意を反映しないともいった。自らの選挙の投票率は如何なものだったか忘れた訳ではあるまい。

もとより、政治家に期待などするつもりもないが、せめて頭だけは良い方がいい。しかるに、くだんの大臣氏は番組のアシスタントの女性にまで突っ込まれ、返答に窮する始末であった。

このことは、大臣氏が番組に出演するに当たり、全く質問に対しての準備を行っていなかったことを示している。誰が考えても、厳しい質問が出るのは明白で、番組スタッフの用意周到さは随所に出ていた。失礼を覚悟して言えば、たかがテレビ番組のスタッフである。それに手玉に取られた大臣のお粗末さが問題であろう。

河口堰反対派の中に我が高校の同級生を見つけた。聞けば、県からの仕事がなくなったと。地元密着の自営業としてはもとより覚悟の上とのことだった。

接待とカラ監査、日本的といえばそれまでだ。問題はこんな大騒ぎになることを予想できなかった人間がその立場にあったということだ。

マザコンの子供は、どんな時でもあなたは本当にいい子よといってくれる母親を求め続ける。子供の欲求に盲目的に応じ続けると、わがままで自己愛的な人間が形成される。きっとママが守ってくれる。そういう妄想の下に生きていく人間が形成される。

くだんの彼らは、どんなママを求め続けていたのだろう。自分自身を大切にすることと、自分だけを大切に思うことは全く違う。自他ともに大切にする為には、我が同級生のようにやせ我慢が必要だ。

21世紀を目前にしてのこの有り様、ネスならいかに対応するだろう。

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